新国立劇場のニーベルングの指環、いわゆるトーキョーリングの再演が始まりました。
指環といえば「ラインの黄金」「ワルキューレ」「ジークフリート」「神々の黄昏」という4本のオペラ(正確には楽劇)からなるワーグナーの超大作。通し(チクルス)で上演する場合でも1~2週間かけるのが普通ですし、トーキョーリングの初演のときは2001~2004年まで、4年かけて上演しました。(つまり、1年に1作ずつ上演したわけです)
私はこの初演を見ることができなかったので今回の再演は待ってました、という感じ。というわけで18日に「ラインの黄金」を見てきました。
開演前、ピットを覗くと指環名物(?)6台のハープをはじめとする巨大なオーケストラ。いよいよ指環の幕が開くのだという気分が盛り上がります。
客席暗転後静かになると、いつものような指揮者入場の拍手もなく(指揮者はこっそり入ってきたのでしょうか?)オーケストラが低い持続音を奏で始めます。真っ暗な中でホルンの音が響く中、舞台からチカチカした鋭い光。しばらくするとヴォータンが操作する映写機の光と判ります。降りてきたスクリーンにはライン川の水面が映し出され、奈落からは映画館の客席のようなものがせり上がってきます。そこへラインの娘たち(水着)とアルベリヒ(熊の着ぐるみ)が登場。ラインの黄金が登場する場面ではスクリーンに金色に輝くジグソーパズル、それを指輪に変える宇宙の真理はスクリーンいっぱいに溢れるような方程式。
こうして書くと奇をてらった現代化演出に聞こえるかもしれませんし、まあそういう面もないことはないのですが、はっきり言って各シーンがかっこいい。それだけで許せるという感じです。どちらかといえば説明過剰な演出なので、意味すること(意味したいこと)は非常に判りやすい。
余談ですが、ワーグナーの作った指環の音楽や歌詞そのものも、全体を通して説明過剰なところがありますね。くどくどと長い台詞に、しつこく大袈裟に繰り返される音楽。だがそこがいい。(笑)
さて、途中を端折ってラストシーン。ドンナーがハンマーを振り下ろし入城するところも圧巻です。巨大なセットが地下に沈み、その後方にはまぶしいほど白い、ドアのたくさんある部屋。空からはパステルカラーの風船がたくさん降りてきます。
かっこいい音楽にかっこいい舞台。途中休憩なし、ぶっ通しの2時間40分間がとても短く感じられました。
演出の細部について謎みたいなものは残りましたが「ワルキューレ」以降で解決されていくのでしょうか。残りの公演もとても楽しみです。ちなみに最後の「神々の黄昏」が上演され完結するのは来年の予定です。(つまり、前回4年かけたものを今回は2年でやるわけです)
今の一仕事が終わったら、一緒にヨーロッパに指輪ツアー行きましょうよ。
お勧めは格安で質の高いPoor Man's バイロイトと呼び声の高い(笑い)ブタペストじゃないでしょうか?
温泉湯治付で。
投稿情報: たけちゃん | 2009年3 月20日 (金) 00:40
いいですね、プアマンズバイロイト。(笑)
是非とも行きましょう。
投稿情報: 岡田 | 2009年3 月20日 (金) 00:48