東京には20年くらい住んでいたのですが、都電に乗るのは初めて。都電荒川線に乗って、目指すはサンパール荒川(荒川区民会館)。ここで第一回ワーグナー音楽祭「あらかわバイロイト」が開催されるのです。「あらかわバイロイト」なんて、もう名前だけで凄いじゃないですか!
しかも、演目はワーグナーのオペラの中でも一番シリアスで難解な感じのする(?)「パルジファル」です。3日間日替わりのトリプルキャストですが、私は土曜日16日の公演を見てきました。
失礼ながら、思っていたよりもずっと良かったです。荒川区を見くびってました。(笑)
もしかして、あら探しをすれば何か出てくるかもしれませんが、そういう気にならなくなる、とても雰囲気の良い公演。全体として高いレベルで良くまとまっていたと思います。
ソリストでは(先日のラインの黄金でもラインの乙女で熱演していた)池田香織さんのクンドリーが、歌はもちろん、演技、ルックスも含めて素晴らしかったです。あとはグルネマンツ役の若林勉さんも良かったです。(さすがに長い語りが多いのでプロンプターからかなり声が飛んでましたが)
演出はドイツ・ロストック市立国民劇場との共同制作だそうで、比較的オーソドックスながら、衣装も凝っていて、意図するところも判りやすく、感動的な「パルジファル」に仕上がっていました。
音楽的にはアップテンポにグイグイ進める感じ。実際、総演奏時間が3時間40分くらいでしたから、このオペラとしてはかなり速いほうでしょう。変に間延びするような演奏よりは良いと思いました。
日本でもこういう形態でワーグナーが上演できるようになったというのは画期的なことかもしれません。ただ、土曜日にもかかわらず、お客さんの入りがいまいち(6~7割くらい)だったのが残念です。
ちなみに来年、第2回は「トリスタンとイゾルデ」で4月23~25日の予定だそうです。