サントリーホールが主催するホール・オペラ®、モーツアルト「コジ・ファン・トゥッテ」初日を見てきました。
コンサートホールでの公演ですが、いわゆるコンサート形式ではなく、本格的に演出されたオペラ公演です。1階席の前5列を潰して舞台を設置。その後方(オルガン側)にオーケストラが普通とは逆向き、つまり指揮者がオルガンを背にする方向に陣取ります。
しかし、プロセニアムや幕はありませんから、舞台は常に四方八方から丸見えです。最初、何も無かった舞台に、序曲の途中から助演の方々(ナポリの道化師プルチネッラを模しているのだそうです)がセットを運び込みます。公演全体を通してこのプルチネッラたちが場面ことにセットを交換するのですが、この動きがなかなかコミカルで楽しませてくれます。
衣装やセットもモーツアルトの時代のナポリをイメージしたもののようで、全体的に正攻法の、それでいて全く飽きさせない演出です。
主要な歌手6人はフィオルディリージ役のセレーナ・ファルノッキアをはじめとして欧州の歌劇場で活躍する名手たち。これら6人の歌手とニコラ・ルイゾッティの指揮する東京交響楽団が本当にぴったりと息を合わせて素晴らしいアンサンブルを聴かせてくれました。
また、レチタティーヴォのときルイゾッティが弾くフォルテピアノもなかなかコミカル。場面転換の時間を持たせるため即興で他の曲を速弾きしてみたり、結婚式の話が出ると結婚行進曲を1小節だけ弾いてみたりたりと、大いに楽しませてくれました。
文句なく楽しめる上に、音楽的にも非常にレベルの高い公演ですが、今日はやや空席が目立ちました。あと2回(17日・20日)公演があるので、是非当日券でも買ってご覧になることをお勧めしておきます。
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