今日(6月5日)は愛知県芸術劇場大ホールでメトロポリタン歌劇場の来日公演。演目はヴェルディのドン・カルロです。この公演も震災や原発事故などの影響で下記のような変更を余儀なくされてしまいました。
- 指揮:ジェイムズ・レヴァイン→ファビオ・ルイジ
- ドン・カルロ:ヨナス・カウフマン→ヨンフン・リー
- エリザベッタ:バルバラ・フリットリ→マリーナ・ポプラフスカヤ
- エボリ公女:オルガ・ボロディナ→エカテリーナ・グバノヴァ
開幕に先立ってメトロポリタン歌劇場のピーター・ゲレブ総裁から、東日本大震災へのお見舞いの言葉と、変更の経緯などについて説明がありました。急な代役で世界のトップクラスの歌手を揃える苦労は大変なものだったと想像します。
一昨年のスカラ座日本公演のときに見たドン・カルロは4幕版でしたが、今日は5幕版ということで、カルロとエリザベッタの出会いなどを含む第1幕が増えています。全体のストーリーからは若干冗長で説明的な感じのする幕ですが、2人の美しい2重唱を聞くとこのバージョンもなかなか良いなと思いました。
正直に言えば、カウフマンやフリットリの歌声が聞けなかったのは大変に残念ではありますが、ファビオ・ルイジの指揮(個人的には2年ぶり)や代役の歌手のレベルの高さは、さすがメトロポリタン歌劇場だなと思わせます。特にドン・カルロ役のヨンフン・リーは若々しく澄み切った歌声で、新しいタイプのドン・カルロに出会えたような気がしました。
予定通りに来日してくれたルネ・パーペ(フィリッポ2世役)、ディミトリ・ホロストフスキー(ロドリーゴ役)はさすがの安定感。パーペのフィリッポ2世は一昨年のスカラ座公演でも見ていますが、まさにはまり役という感じです。(余談ですが、このときのパーペはサミュエル・ラミーの代役でした)
舞台装置も非常に豪華で転換が多く、この巨大なセットとそれを支える数百人のスタッフが、こういう困難な状況の下で日本に来ているというだけでも奇跡のように感じました。世界一豪華な歌劇場の、まさに圧倒される公演でした。
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