新日本フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会で「トリスタンとイゾルデ」をやるということで、7月16日にすみだトリフォニーホールへ行ってきました。
オーケストラの定期演奏会で会場もコンサートホールですから、いわゆる演奏会形式の公演を想像していたのですが、ところがどっこい、オーケストラはステージに上がっていますが、全員黒ずくめの衣装。譜面台にはライトが付き、歌手が演技する細長いステージがオーケストラの前方、中程、後方に3本作られ、さらに後方にはオルガンを隠すように巨大なスクリーンが張られています。照明も当てられ、歌手も舞台衣装を着て、小道具も持ち、スクリーンにはCG映像が映し出されるという本格的な演出によるものでした。(雰囲気としてはサントリーホールが昨年までやっていたホールオペラに近いかもしれません)
私の席は前から2列目。普通のオペラハウスの場合、舞台と客席の間にはオーケストラボックス分の距離がありますが、今回の場合は歌手がまさに目の前。間近で歌うオペラ歌手のパワーと臨場感には圧倒されました。
歌手ではブランゲーネ役の藤村実穂子さんがまさに別格の存在感。トリスタン役のリチャード・デッカー、イゾルデ役のエヴァ・ヨハンソンも素晴らしかったです。また、3幕のイングリッシュホルンのソロは、森明子さんがバルコニーから夢見るような素晴らしいメロディーを聴かせてくれました。
指揮は音楽監督のクリスティアン・アルミンク。色彩豊かな音楽を丁寧に、しかも雄大に振っていたと思います。交代になった4月の新国「ばらの騎士」の雪辱を立派に果たしたと言えるでしょう。
オーケストラ・歌手ともに粒ぞろいのレベルの高い公演でした。昨年の12月にも新国立劇場で聴いたトリスタンとイゾルデですが、見るたび聴くたびに圧倒され、また毎回新しい発見があるような気がします。