今年の最後は新国立劇場で「こうもり」、12月9日の公演を見てきました。
この公演、当初は往年の大スター、アグネス・バルツァがオルロフスキーをやる予定だったのですが「大震災後の原子力災害による自身の健康への懸念」とのことで出演者変更。もう今年は慣れてしまいましたが残念ですね。
その代役としてオルロフスキーを演じるのはエドナ・プロホニク。大スターの代役は大変だったと思いますが、堂々とした歌声でなかなか良かったです。見た目も大柄でオルロフスキーにぴったりという感じでした。
あとはアデーレ役の橋本明希さん、アルフレード役の大槻孝志さんの2人の日本人も良かったです。大柄な外国人に混じると小柄なアデーレは本当に可愛らしく「小間使い」という役柄にもぴったりとはまっていました。
指揮はダン・エッティンガー。個人的にはトーキョーリング以来ですが、大胆かつ軽妙な指揮で、リングのときとはまた違う魅力を見たような気がします。
台詞のほうでもドイツ語日本語チャンポンでアドリブ混じり、今年のいろんなことを忘れさせてくれる本当に楽しい公演でした。
この日は終演後に抽選で参加できるバックステージツアーがあり、幸運にも当選。参加させてもらいました。
まず終わったばかりの「こうもり」のセットを退避させて、次の公演(くるみ割り人形)のセットを組むとのことで、客席から舞台上の退避作業を見せてもらいました。大人数のスタッフが一斉に作業し、大きなセットを丸ごと載せたスライドワゴンや迫りが動く様子は圧巻。瞬く間に舞台上は何もない状態に片付いてしまいました。
その後は舞台へ上げてもらい、舞台の左右(ここは完全な4面舞台なので主舞台と同じだけのスペースが左右と奥に確保されています)にある「こうもり」全3幕分のセットを見せてもらいました。客席からは奥行きがあるように見えたセットが実際に見ると平面的だったり、セットの絵の描き方や照明の効果がよくわりました。大きなセットはそうした効果に頼る一方、小道具などは意外とリアルに作ってあり、たとえば2幕の舞踏会の食べ物は作り物なのですが、目の前で見ても食べたくなるような出来で本当に驚きました。このあたり舞台監督(斉藤美穂さん)に直接いろいろ説明して頂き、裏話なども聞けてとても面白かったです。
下の写真は舞台の上から客席を見た様子。以前、愛知県芸術劇場大ホールの舞台にも上がらせてもらいましたが、そちらに比べると上層階でも客席が近いように感じました。
(上の写真は劇場の許可を得て撮影しています。舞台装置・衣装などは権利の関係上撮影禁止です)