東京・春・音楽祭のオペラ公演、ワーグナーの「タンホイザー」、初日(4月5日・東京文化会館)に行ってきました。
オペラ公演とはいえ演奏会形式。ステージ前方に一般のコンサートのようにオーケストラが配置され、その後方の高い場所に歌手や合唱が乗る台があり、さらに後方のスクリーンに映像と字幕が投影されます。
映像が入るとはいえ、新日本フィルが昨年やった「トリスタンとイゾルデ」などに比べると簡素なもので、演奏会形式らしく純粋に音楽を楽しむ公演だと感じました。
アダム・フィッシャーの指揮するNHK交響楽団は荒ぶることのない端正な演奏。歌手ではタイトルロールのステファン・グールド(個人的には一昨年末の新国立劇場でのトリスタン役以来)、エリーザベト役のペトラ=マリア・シュニッツァー、ヴォルフラム役のマルクス・アイヒェが良かったです。
オーケストラがピットに潜ってしまうオペラ形式の公演と違い、オーケストラが丸見えで指揮や演奏の様子がよく見えるのも演奏会形式ならでは。特に12本の追加ホルンが入る第1幕の最後や、やはり12本の追加トランペットが入る第2幕の大行進曲などはヴィジュアル的にも圧巻でした。
せっかく一流歌手が来日して歌うだけに、オペラとして考えると演出のない演奏会形式はちょっともったいない気もしますが、純粋に音楽を聴くコンサートと考えれば、一流オーケストラと一流歌手の組み合わせにたっぷり3時間も浸れる満足度の高い公演だったと思います。
ただ、平日の17時開演ということもあって空席が多かったのは少し残念な気がしました。