ウィーン国立歌劇場の日本公演、東京文化会館でリヒャルト・シュトラウスの「サロメ」、16日に行ってきました。
この公演は芸術監督(小澤征爾さんの後任ですね)のフランツ・ウェルザー=メストが指揮する予定だったのですが、残念ながら怪我のため来日できず。初日の5日前になって代わりにペーター・シュナイダーが指揮することが発表されました。
6月の新国立劇場では素晴らしいローエングリンを聴かせてくれたペーター・シュナイダーですが、急な代役ということでどうかなと思ったのは確か。でもオーケストラから最初の音が出たとたんそういう不安も吹き飛び、大編成のオーケストラがまるで一つの楽器になったような完璧な演奏を聴かせてくれました。
演出はボレスラフ・バルロクによるもので、なんと1972年(40年前!)の制作です。この演目にありがちな過激さ、禍々しさはあまりなく、無難といえば無難なのですが、幕が開いた瞬間、美しいセットに引き込まれ、全く退屈せず集中して作品を堪能することができ、なるほど最高のオーケストラを持つこの劇場が40年間この演出を使っているのも頷けるなと思いました。
歌手ではタイトルロールのグン=ブリット・バークミンがサロメらしい力強い声。また情熱的な演技も含めてとても良かったです。
1幕約100分間、ずっと息を呑むような公演。まさに「正統派のサロメ」を堪能することができました。