マリインスキー歌劇場管弦楽団でドニゼッティ「ランメルモールのルチア」(演奏会形式)、サントリーホールで一回きりの公演(11月12日)に行ってきました。
この公演の目玉はなんといっても天下のナタリー・デセイがルチアを演じること。ゲルギエフ率いるオーケストラも、合唱を務めた新国立劇場合唱団も素晴らしい出来だったのですが、やはり主役はナタリー・デセイ。失礼ながら他の歌手が全く霞んでしまうほどのパワーに圧倒されました。
有名な第3幕の「狂乱の場」、通常フルートなどで演奏されるこの場面の伴奏ですが、この公演では(作曲当初の意図どおり)グラス・ハーモニカが使用されていました(楽器協力:国立音楽大学 楽器学資料館)。奏者サッシャ・レッカートのテクニックも凄かったです。こうした珍しい楽器の演奏を目で見ることができるのは演奏会形式ならではですね。
入場時に渡されたプログラムでは第2幕の第1場と第2場の間に一回だけ休憩を入れる予定になっていましたが、実際には第2幕と第3幕の間に一回休憩を入れる形式で上演となりました。狂乱の場の前に休憩を挟めるという意味で、歌手にとっても聴衆にとってもこれは良い変更だったと思います。
グラスハーモニカの幻想的な伴奏によるデセイの狂乱の場はまさに息を呑むほどの物凄さ。一生忘れることのない名演だったと思います。終演後もお客さん総立ちで拍手の鳴り止まない熱狂的な公演でした。