ミラノ・スカラ座の来日公演、「リゴレット」の初日に行ってきました。(9月9日・NHKホール)
この公演、なんといっても凄かったのはリゴレット役のレオ・ヌッチ、まったく71歳(!)とは思えない、広いNHKホールの隅々まで通る歌声。リゴレット役を得意とするだけあって、演技のほうも素晴らしかったです。
そしてもう一人素晴らしかったのはジルダ役のエレーナ・モシュク。この2人、まさにリゴレットのために生まれてきた歌手のように思えました。
第2幕のカーテンコールでは客席は熱狂的な反応。「bis!bis!(もう一回!)」という声に応えて、第2幕最後の迫力ある2重唱をもう一回歌ってくれました。ちょっと珍しいんじゃないでしょうか。
音楽のほうではグスターボ・ドゥダメルの指揮は良いテンポで流していく感じ。とても悲劇的な作品ですが、それほど感情過多にならなくて、こういうリゴレットもなかなか良いもしれないなと思いました。上記アンコールの時など、ヌッチやモシュクともとても息が合っていたように思います。
当初予定されていたジョセフ・カレヤの代役としてマントヴァ公爵を務めたフランチェスコ・デムーロやその他の歌手も良かったのですが、ヌッチとモシュクの凄さの前では少し霞んでしまった気がしました。
終演後のカーテンコールも大変な盛り上がり。いつまでも拍手が止まず、最後はオーケストラピットの周囲に観客が集まり、まるで熱狂的なロックコンサートのようでした。
おそらく日本での「リゴレット」上演史に残る公演となるでしょう。ホールからの帰り道、観客の皆さんもなかなか興奮が醒めない様子でした。
なお、この公演の様子は後日(NHK BSプレミアム、10月27日深夜0:00〜)放送される予定のようです。