新国立劇場、2014/2015シーズンの開幕はワーグナー「パルジファル」の新制作。初日、10月2日の公演を観に行きました。
演出はバイロイト音楽祭などでもお馴染みの巨匠、ハリー・クプファーが新国立劇場初登場。舞台装置についてはこちらの記事に解説がありますが、64万個のLEDを床に敷き詰めた「光の道」と、油圧で動く巨大な槍「メッサー」が圧巻です。
パルジファルという作品、キリスト教的背景など特に日本人にとって非常に難しい作品というイメージがありますが、予備知識無しに見ても比較的すんなり入っていける「わかりやすさ」を持ちながら、(おそらく)あまり類を見ない斬新な試みもあり、最終的には見る者が自由に考える余地を残す、秀逸な演出だったと思います。
オーケストラは今シーズンからオペラ芸術監督に就任したばかりの飯守泰次郎氏が自ら指揮する東京フィルハーモニー交響楽団。長丁場の作品をしっかりしたステップで持っていく、明晰な指揮が良かったです。
歌手はパルジファル役にクリスティアン・フランツ、個人的には同じ劇場で観たジークフリート役以来で、恐れを知らぬジークフリートと愚か者パルジファルという2人の相似性がなんとなくイメージされて面白かったです。グルネマンツ役のジョン・トムリンソン、クンドリー役のエヴェリン・ヘルリツィウスも素晴らしい歌声でした。
世界トップレベルの演出家の作品を、日本オリジナルの新演出として見られる幸せ。観客の反応も良く、カーテンコールで飯守さんが多くの歌手・スタッフと握手している姿が印象に残りました。