11月9日は神奈川県立音楽堂の60周年記念オーケストラ・コンサートへ。
横浜には何年か住んでいたこともあるのですが、実を言うとこの音楽堂は初めて。場所は桜木町の駅からすぐ近く(とはいえ、かなりの急坂を登りますが)。緑の公園に囲まれた良い環境の中にあります。
オーケストラは篠崎靖男さん指揮の神奈川フィルハーモニー管弦楽団。
- 武満徹:セレモニアル(笙:宮田まゆみ)
- ドビュッシー:海
- (休憩)
- 一柳慧:マリンバ協奏曲(マリンバ:加藤訓子)
- ストラヴィンスキー:火の鳥(1919年版組曲)
- ワーグナー:ニュルンベルクのマイスタージンガー前奏曲(アンコール)
という、なかなか意欲的なプログラムでした。
最初のセレモニアルは笙とオーケストラのための曲。笙の風雅でありながら刺激的な響きと、それを模すようなオーケストレーションが面白かったです。
次の「海」はお馴染みの曲ですが、武満とドビュッシーの相似性みたいなのも感じられて、なかなか面白い曲順になっているなと思いました。余談ですがこの曲の初版スコアの表紙には葛飾北斎の神奈川沖浪裏が使われているということで、意外なところで神奈川県と縁のある曲だとも言えます。
休憩を挟んでステージには大型のマリンバが運び込まれマリンバ協奏曲。2013年に大阪で初演されたばかりの新作ですが、会場にいらしていた作曲者の一柳慧さんによると、今回のソリスト、加藤訓子さんの演奏上の助言により若干の改訂を加えたバージョンとのこと。加藤さんは小柄な体で大きなマリンバと対峙して、スローな部分では太極拳のような、速い部分ではダンスを踊るような、全身を使った演奏で、ヴィジュアルでもとても楽しいく聴くことができました。
そしてメイン曲といえる火の鳥。こちらも篠崎靖男さんの指揮が冴える充実した演奏で、先月聴いた全曲版とは別の魅力を感じました。
アンコールにはマイスタージンガー前奏曲。これは60年前、この音楽堂が出来たときのこけら落としで演奏された曲とのことで、まさに記念すべき演奏。
最近ではもっと後に出来たホールでも様々な理由で改築されたりすることが多いですが、こういう古いながらも良い音響を持ったホールが大切に使われ続けている(今のところ改築などの予定は無いようです)というのも素敵なことですね。