12月7日、ミューザ川崎シンフォニーホール開館10周年記念コンサートへ行って来ました。演目はマーラーの交響曲第8番「千人の交響曲」、演奏はジョナサン・ノット新音楽監督の指揮する東京交響楽団です。
「千人の交響曲」ですから、舞台の上には大編成のオーケストラ、ハープ4台、ピアノ、チェレスタなど鍵盤楽器・打楽器等各種。オーケストラの後ろに独唱者7人(ソプラノ2・アルト2・テノール・バリトン・バス)、その後方には児童合唱(東京少年少女合唱隊)。そしてオルガン側の客席を全部使った大合唱団(東響コーラス)、その中央に巨大なパイプオルガンを従えるオルガン奏者。左右上方の3階バルコニー席には数人のトランペットとトロンボーン。あと私の席からは見えませんでしたが、後ろの上のほう(おそらく3階席後方あたり)に第3ソプラノ独唱者。さすがに「千人」には届かないにせよ、数百人によって一つの曲が演奏されるわけです。
この超大編成をバラバラにせず「一つの楽器」として鳴らすジョナサン・ノットの指揮。流れるような第1部、感動的に盛り上げる第2部という対比もとても良かったように感じました。
私の席は2階席左側最前列(2CA1-4)。このホール、客席2000席とのことですが、その割には2階席あたりだと非常に舞台が近く(私の席の前、1階席左側は、たったの6列しかありません)、良い意味で「小さいホール」という雰囲気があるように思います。そういう近い場所から聴く大編成の音楽、合唱などの配置もあって、横だけでなく縦に広がった音場もなかなか希有な体験でした。
まさに10年目という節目に相応しい大曲ですが、このホールでは開館記念や5年目にも演奏された、とても縁のある曲とのこと。私も実演で聴いたのは初めてですが、終わったときには涙が出てくるほど感動。クラシックの交響曲の中でもこの曲が(ベートーヴェンの「第九」と似たような意味で)「特別な曲」だということを実感しました。
ミューザ川崎の10年の歴史は、東日本大震災による天井大破で約2年間の休館を余儀なくされるなど、決して平坦なものではないと思いますが、このホールの素晴らしさ、そしてジョナサン・ノット音楽監督と東響の今後の活躍にも期待したくなる、素晴らしく感動的な公演でした。