久しぶりの新国立劇場はマスネ作曲「ウェルテル」新制作の公演、最終日の4月16日に行って来ました。
指揮者は当初の予定ではマルコ・アルミリアート。本人の都合による降板で代役がミシェル・プラッソンと発表され、その後骨折のためリハーサルにも参加していた息子さんのエマニュエル・プラッソンが指揮棒を振ることになりました。またウェルテル役の歌手は最初の予定ではマイケル・ファビアーノ、それが「本人の芸術上の理由」による降板で代役に決まったのはマルチェッロ・ジョルダーニ、ところが交通事故による負傷のためディミトリー・コルチャックに交代という、公演の要となる指揮者とタイトルロールがそれぞれ2回交代するという珍しい事態となりました。
そういう予備知識無しに見てもこの代役2人、なかなかの「当たり」だったと思います。ウェルテル役のコルチャックには美しさと力強さを兼ね備えた声で魅了させられました。シャルロット役のエレーナ・マクシモワとの組み合わせもヴィジュアル面も含めてなかなか良かったと思います。余談ですが、コルチャックとマクシモワ、どちらもロシア人なんですね。
エマニュエル・プラッソン指揮の東京フィルハーモニー交響楽団も良かったです。全体に優しい音だなーと感じました。マスネの音楽の美しさを再認識。
ニコラ・ジョエルの演出はそれほど大掛かりではありませんが、細部まで美しく作り込まれたセットがマスネの美しい音楽に合っていたと思います。
悲劇的なストーリーにもかかわらず、美しい音楽と演出でとても後味の良い公演でした。