またまた前回の記事から大幅に時間が空いてしまいました。おまけに昨年10月の話を今(2025年2月)になって書いているという(汗)。
東京二期会のリヒャルト・シュトラウス「影のない女」、初日2024年10月24日に行ってきました。会場は東京文化会館大ホール、前から2列目のほぼ真ん中という特等席です。
ちなみに当初2022年に予定されていたものが新型コロナの影響で延期された公演です。
なんといってもこの公演の主役は演出家ペーター・コンヴィチュニーでしょう。個人的には「アイーダ」「エフゲニー・オネーギン」「マクベス」以来のコンヴィチュニー演出オペラ、「影のない女」としては2010年の新国立劇場公演以来となります。
コンヴィチュニーの演出ですから大幅に「読み替え」が行われています。
舞台は現代か近未来くらい。皇帝とカイコバートは敵対するマフィアのボス。バラクは遺伝子操作研究所の所長。そして妻が夫に隷属することを賛美する(現代にそぐわない)原曲終幕のフィナーレは大胆にもカット。代わりに第2幕のシーンを最後に持ってきています。
そう、これはリヒャルト・シュトラウスのオペラを元にした二次創作なのでしょう。そう思って見ればなかなかよく出来てる。間違いなく心に深く残る公演ですね。
コンヴィチュニーさんにはカーテンコールで大ブーイングが飛んでいましたが、本人は「想定内」という感じでニヤニヤしていました。
賛否両論だと思いますが、音楽の深さを生かして新しいものを作っていたと思います。伝統的な演出とは別物として楽しめばいいんじゃないかな。
アレホ・ペレスの指揮する東京交響楽団の音楽はすごく尖っていてかっこよかったです。原曲からのカットがかなり多かったようですが、正直それがあまり気にならない、元からこういう音楽だったんじゃね?みたいな気分にさせるのは演出家と指揮者の力でしょう。
ただ、もしかすると日本語字幕のせいかもしれませんが、決して「わかりやすい」演出ではなかったと思います。翻訳が悪いというよりドイツ語と日本語の多義性の違いのせいという気がします。 字幕は日本語と英語が表示されていたので英語字幕のほうも見ていましたが、やはり英語のほうがドイツ語に近い感じ。
この演出での公演は日本がワールドプレミエで今後ドイツのボンでも同じ演出で上演される予定のようですが、そちらでどういう反応になるのかも気になりますね。