原子とか微細なものを支配する量子力学と、重力を記述する一般相対性理論を統合した「量子重力理論」の構築は現代の物理学が抱える最大の課題でしょう。
量子重力の理論は未完成ですが「正しい量子重力理論」が備えているはずの性質として、有名なホーキング博士が指摘したブラックホールのホーキング放射(なんとブラックホールが光を出して蒸発する)などがあります。
量子重力理論の候補として、有力なのが超弦理論。今回のIPMU(数物連携宇宙研究機構、なんだかかっこいい名前ですね)の発表は、超弦理論の熱力学的極限(例えば大きなスケールで見たとき)が、ホーキング博士が予想する理論に一致することを証明するもの。3次元の結晶が融ける様子をモデルにして紙と鉛筆で証明できるというのがユニークなところでしょう。(「紙と鉛筆で」というのは、たぶんスーパーコンピューターなどで計算しなくても、という意味だと思います)
普通の「空間」はきれいな結晶。その角が融けて崩れたところが「ブラックホール」である、というビジュアルな説明が、なんだか素敵ですよね。
人類の知恵が「正しい量子重力理論」へ辿り着く日はそんなに遠くないかもしれません。
http://journal.mycom.co.jp/news/2009/04/10/038/index.html